プロジェクト研究

本センターの主たる業務として「研究プロジェクトの推進」があります。

その一つ目の柱になるのが、環境省が、2011年から2032年まで国の事業として実施する「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」(以下、「エコチル調査」)です。

この他、現在進行中の大きなプロジェクト研究としては、「環境と子どもの健康に関する北海道研究(2001年から実施の2万人規模の前向きコホートで、環境省エコチル研究のモデルになった北海道スタディ)」、「室内空気質と健康に関する研究(全国規模のシックハウス症候群に関する大規模疫学研究を実施)」、「高齢者サポートネットワーク研究」、そして「働く人々の心身の健康に関する研究」などがあります。

環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」

2011年1月に、環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」が全国で始まりました。エコチル調査の目的は、環境要因が子どもの健康に与える影響を明らかにすることです。特に化学物質の曝露や生活環境が、子ども(胎児期から小児期まで)の健康にどのような影響を与えているのかについて明らかにして、化学物質等の適切なリスク管理体制の構築につなげることを目的としています。

独立行政法人国立環境研究所がコアセンター(研究全体の総括)となり、独立行政法人国立成育医療研究センターがメディカルサポートセンターとしてこれを支援します。公募により設置された全国15か所のユニットセンターが、コアセンターとメディカルサポートセンターと協働して行います。

対象者は、調査地区に居住する妊婦で、全国で10万人の妊婦と子ども及び父親についてのコホート調査(同じ集団を数年間にわたり追跡する調査)を実施します。リクルートは2011年から開始して3年間で完了し、フォローアップは子どもが13歳に達するまで継続されます。すべての対象者(子ども)が13歳に達した後、5年間のデータ解析期間を含めた2032年までを調査期間としています。実施する調査は3つあり、調査参加者全員を対象として、全国統一の内容で実施する全体調査、リクルート開始2年目以降の全体調査対象者の中から無作為に抽出された数千人を対象とする詳細調査、ユニットセンター等が独自の計画、予算に基づいて、環境省の承認を受けて行う追加調査があります。

 

「北海道ユニットセンター」ウェブサイト

環境と子どもの健康に関する北海道研究(通称:北海道スタディ、モニタリング調査)

2001年から「環境と子どもの健康に関する北海道研究(以下北海道スタディ)」を立ち上げ、約15年間調査を行なってきました。そして、この調査の実績は、環境省「エコチル調査」の先駆け的なモデル研究として評価されています。これは、子どもの健康に対する環境要因の影響を調査する必要性の高まりと、これまで日本では胎児期の化学物質等の曝露にスポットを当てて出生前から追跡をした研究が、ほとんどなかったことから始められた研究です。

「北海道スタディ」ウェブサイト

室内空気質と健康に関する研究

全国規模のシックハウス症候群に関する大規模疫学研究を実施。

平成26 – 27年度厚生労働科学研究費補助金健康安全・危機管理対策総合研究事業「科学的工ビデンスに基づく『新シックハウス症候群に関する相談と対策マニュアル(改訂版)』の作成」研究班が作成いたしました「科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル(改訂新版)」が厚生労働省のホームページで公開されました。当センターからは、岸、荒木、湊屋、アイツバマイの4名が執筆いたしました。

室内空気質と健康に関する研究

高齢者サポートネットワーク研究

高齢者サポートネットワーク研究のグループでは、1991年から道内3地域(大都市、農村、旧産炭過疎地)で長期的な前向きコホート研究を行い、高齢者をめぐるサポートネットワークと種々の健康指標(ADL、抑うつ、早期死亡、要介護状態、医療費など)の関連について多面的に検討を行ってきました。

高齢者サポートネットワーク研究

働く人々の心身の健康

本研究では、虚血性心疾患や脳血管疾患など循環器疾患を中心とした生活習慣病の様々な危険因子について検討を行い、健診現場で活用することを目的に、職域における大規模前向きコホート研究による疫学的検討を行っています。

働く人々の心身の健康