調査でわかったこと

母さんの妊娠中の血液中の有機フッ素化合物の濃度は、胎児の発育と関係?

この研究の目的

私たちが普段使用する製品に含まれる有機フッ素化合物が、発育や肥満と関係する可能性が指摘され始め
います。そこで妊娠中のお義母さんの血液中の有機フッ素化合物が、赤ちゃんの成長に影響しているかを検討しました。

有機フッ素化合物とは?

有機フッ素化合物は、撥水・撥油性があり、撥水撥油剤、界面活性剤消火剤、殺虫剤、調理用器具のコ
ーティング剤などの幅広い用途で使用されてきました。特に代表的な、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とパーフルオロオクタン酸(PFOA)は環境中で分解されにくく、残留性や蓄積性があるため、環境中やヒトの血液や母乳からも検出されています

この研究からわかったこと

お母さんの血液中のPFOSの濃度が高くなると、赤ちゃんの出生時体格が小さくなる傾向であることがわかりました。また、臍帯(赤ちゃん)血のアディポネクチン濃度は増加する傾向であることがわかりました。出生時の体格やアディポネクチンは生後の発育や、様々な疾患の発症リスクとも関係することがいわれています。引き続き、子どもの成長過程を追跡する研究が欠かせません。

ポンデラル指数とは?

体重と身長から算出される指数のことで、体格のバランスを把握するために用いられます。

アディポネクチンとは?

アディポネクチンは、脂肪細胞から血液中に分泌されるホルモンで、糖尿病や動脈硬化症などを予防する効果があるといわれており、注目されています。

出典:
Minatoya M, et al. Association of prenatal exposure to perfluoroalkyl substances with cord blood adipokines
and birth size: The Hokkaido Study on environment and children’s health. Environmental Research. 156 175-182. 2017