調査でわかったこと

さい帯血中のレプチン濃度が高いと、子どもの不注意多動のリスク低下する?

レプチンとは?

レプチンは全身の脂肪細胞から分泌されるペプチドホルモンです。食欲を抑制し、エネルギー代謝を活性化させる機能をもっています。胎盤からも産生・分泌され、妊娠時にはお母さんの血中レプチン濃度は上昇することが知られています。

この研究の目的

この研究では、胎児の発育との関係が指摘されるさい帯血中のレプチン濃度が、5歳の子どもの行動発達と、どのように関係しているかを検討しました。

どのように調査したの?

2008年~2010年生まれの5歳になった子どもを対象に、子どもの行動発達をみるため、「子どもの強さと困難さアンケート(SDQ)」を保護者に記入してもらいました。SDQから、「行為」、「情緒」、「不注意・多動」、「仲間関係」、「向社会性」の5つの項目の得点を計算しました。また、出産時のさい帯血に含まれるレプチンの濃度を測定し、SDQの得点と関係がみられるかを調べました。

研究の結果とわかったこと

この研究では、さい帯血中のレプチンの濃度が、5歳の子どもの不注意・多動と関係する可能性が示されました。今後は、このようなホルモンが子どもの行動発達を予測する指標となりうるかを、慎重に検討していく研究が必要です。

出典:Minatoya M, et al. Association between Fetal Adipokines and Child Behavioral Problems at Preschool Age: The Hokkaido Study on Environment and Children’s Health. Int J Environ Res Public Health.15(1). pii: E120. 2018.