2013(H25)年11月5日(火曜日)、北海道大学学術交流会館・小講堂にて、国際シンポジウム「サステナブルで安心な社会の構築へ向けて~予防原則という考え方~」が開催されました。
◆北海道大学サステナビリティウィーク2013公式webサイトは こちら
(右のチラシ画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFファイルが開きます)
昨年度に増して、沢山の受講生が参加しました。
講演#01 長島美織准教授(北海道大学メディアコミュニケーション研究院)
「健康・環境・予防原則-導入として」
講演#02 坂本峰至博士(国立水俣病研究総合研究センター)
「メチル水銀のハイリスクグループとしての胎児
-メチル水銀の特異的経胎盤移行性」
講演#03 荒木敦子特任講師(環境健康科学研究教育センター)
「有機フッ素化合物曝露とこどもの健康
-子どもの健康と環境に関する北海道研究-」
講演#04 Pau-Chung Chen教授(国立台湾大学)
「Birth Cohort Consortium of Asia」
講演#05 Ortwin Renn教授(シュツットガルト大学)
「Risk Governance, Precaution, and Policy Making」
講演後は司会及び講演者によるパネルディスカッションが行われました。
パネル・ディスカッション
「サステナブルで安心な社会の構築へ向けて
~予防原則という考え方~」
(Renn教授はインターネット接続のビデオ会議にて参加)
【主な討論内容】
1)単純なリスクであれば専門家による意見で良いが、複雑なリスクである場合は、市民や、特にそのリスクに影響を受けるであろう人びとも含めた上でのネゴシエーションが必要である点
2)リスクとベネフィットのバランスをいかに保つか、経済的な観点からもリスクを評価し、社会科学、政策科学、毒性学等異なる専門家がどのようにコンセンサスをとって人々に効果的に予防的に管理体系を組むかが、市民の不安感を取り除く上で重要である点
加えて会場からは、アジアや世界において異なるリスクが存在するか、それにコンソーシアムがどうかかわるかに関する質問があり、講演者から当然地域によって化学物質の場合はリスクが異なり、遺伝的な背景からその影響も異なるので、地域に根差した形でリスクガバナンスが行われる重要性について回答されました。
最後に、本日の講演ではリスクとして環境化学物質曝露の問題を中心に取り上げたが、社会経済要因や格差によるリスクについてもサステナブルで安心な社会構築には重要である点が強調されました。
30名以上の市民の参加も得て、『持続可能な社会構築へ』の学びの機会として、有意義なシンポジウムとなりました。