研究者の

研究者①

なぜCEHSに働くことになったのか?

 私は小児科臨床医として、道内地方病院で8年間勤務後、大学院に入学しました。大学院では主に2つの研究を行いました。1つ目は先天性疾患の遺伝子解析で、サンガー法やターゲットシーケンスなどを行い、博士号を取得しました。2つ目は1型糖尿病の臨床研究で、北大だけでなく帯広や釧路の病院のカルテ情報を収集し、後方視的な観察研究を行いました。こうした経験から、リサーチクエスチョンを研究に発展させ、論文として発表するおもしろさとやりがい、遺伝要因のみならず環境要因を勉強したいというモチベーションを抱えていたところに、教授よりCHESのことを教えていただき、まさに今自分がやりたいことにマッチしていると感じ、CEHSに異動させていただきました。

 

CEHSではどんな業務をしているのか?

 1つ目は調査の推進で、対面調査の計画(日程調整、タイムテーブル作成など)、対面調査の実施(採血や診察など)、連携病院や医師との調整、参加者の医学的対応、調査のアクシデント対応などです。医師という資格だけでなく、小児科臨床医としての経験も活かせていると感じており、すなわち対象が子どもであり、親であるので、本質的に人と人の付き合い、すなわち信頼関係が重要というところが病院での臨床と一緒だなと感じています。また、計画通りいかなかったり、トラブルが起きたり、臨機応変に対応するところも臨床と似ています。実際の調査に関わることは、コーホートなど観察研究の論文の読む時や、自分で研究を計画して論文を執筆する上でも非常に役立っています。

 2つ目は研究で、北海道スタディを基盤に研究計画を立て、科研費など競争的研究費をしたり、厚生労働科学研究費や環境推進費などの班会議に入れていただいたり、受賞することができたり、自分にとって初めての経験を数多くさせていただいています。

 

CEHSの魅力

 大規模出生コーホートを基盤としており、成長、精神発達、アレルギー、NCDs、遺伝など、言うならばあらゆる健康影響・疾患をアウトカムとしていますので、どんなバックグラウンドを持っていても活躍できます。実際に医学、歯学、獣医学、薬学、心理学など、さまざまな分野の出身者が活躍しており、現在も北大内外のさまざまな学部・教室と共同研究しています。また、CEHSには疫学、統計、臨床研究などのスペシャリストの教員がいるので、調査も研究も困った時はいつでも相談でき、スムーズに進められます。また、皆モチベーションが高く、日々刺激を受けています。コーホート研究に興味がある方、ぜひお待ちしています!

研究者②

なぜCEHSに働くことになったのか?

 出身は北大の教育学部で、認知心理学・生理心理学が専門分野です。学生時代は、特に基礎分野に興味を持って研究していたのですが、当時の所属研究室が特殊教育・臨床心理学をメインテーマとしていたため、発達障害についての知識・興味も持ち合わせていました。当時の教科書では発達障害の原因は遺伝が主であると述べているものがほとんどで、それ以外の要因による影響を取り上げているものはあまり見かけなかったように記憶しています。博士号を取得した後、指導教員にCEHSの公募を勧められ、改めて発達障害を扱った疫学研究について調べたところ、胎児期の環境や化学物質曝露が発達障害の発症に影響する可能性があることを知りました。予防や症状の軽減が可能かもしれないというところに興味を持ち、応募することにしました。

 

CEHSではどんな業務をしているのか?

 CEHSの2つのコホートのうち、「北海道スタディ」の担当をしています。北海道スタディでは様々な分野の研究者が各自のテーマで研究をしているため、いくつかの調査が同時進行で実施されています。これらの調査が円滑に進むよう、担当の研究者と相談・協力しながら調査計画の立案や進行管理を行い、スタッフの業務の調整などもしています。

 研究者としては、子どもの心理発達や認知機能の評価を担当しています。郵送で実施している質問票の回答から、子どもの問題行動や発達障害傾向についての情報を収集します。また、コホートに参加している子どもの脳波測定や知能検査等を対面で実施し、認知機能や知的能力についても調べています。これらの結果をまとめ、蓄積してある胎児期の化学物質曝露や出生後の環境などの情報とあわせて解析し、環境と子どもの心理発達についての研究成果を公表していくことが最も重要な業務です。

 

CEHSの魅力

 様々な分野の研究者が協力して研究を進めているため、自分の専門分野だけでは知ることが難しい情報を得られることが最大の魅力です。たとえば「化学物質の胎児期ばく露と子どもの心理発達」についての論文を執筆する際、化学物質の分類や体内での働き方など、化学を専門とする同僚の研究者に直接意見を求めることができます。遺伝的な要因や内分泌系、免疫や体格などの医学的要因に詳しい研究者も在籍しているため、幅広い分野にまたがった研究を進めることができる可能性があります。また、コホート研究では子どもの様々な面について情報収集をすることができるので、自分のやりたい研究テーマがあれば、PIの岸先生や同僚の研究者と相談のうえ実施することもできます。さらに、国際共同研究やWHOコラボレーティングセンターとしての活動など、海外との協力も幅広く行っており、様々な国の研究者と交流を深めることができることも魅力の一つかと思います。

研究者③

なぜCEHSに働くことになったのか?

 北海道大学大学院の修士課程で学んでいる時、CEHSの兼務教員を務める先生から指導を受けており、その先生から紹介していただいたのがきっかけです。公衆衛生に興味があった私は、CEHSが中心となって実施している大学院共通授業科目の「社会と健康」というシリーズの授業を複数受講していました。採用面接が「あなたは社会と健康の学生さんですよね。」という会話から始まったのをよく覚えています。

 当時の自分は修士課程が終わったら働きたい、できれば医学に携わりつつ、調査や統計解析に携われる職業はないかと探していました。そんな私に、CEHSの先生方は、技術補助員としてCEHSの業務に携わりつつ、大学院博士課程に進学することを勧めてくださいました。アドバイスの通りの進路を選択し、週3日はCEHSの業務に携わり、週2日は大学院の授業に集中するなど、バランスを取りながらの勤務がスタートしました。

 

CEHSではどんな業務をしているのか?

 現在、環境省エコチル調査の特任教員として、受託研究のために従事しています。全国規模で進められている研究のプロトコルを知り、現場を体験することは、自分自身の研究遂行能力を培うことに直結していると感じています。私自身の博士課程での研究は、出生コホート研究で先輩方が過去に蓄積してくださったデータを使って、博士論文に取り組みました。同じ時期にCEHSに携わっていたことで、自分自身が出生コホート研究のデータを集めることに携わる機会も得られました。研究倫理に則ったインフォームド・コンセントを得るために必要なことは何か、質問票調査の回収率を上げるためにどのような工夫ができるか、どのように対面調査を実施すると効率的に質の高いデータが蓄積できるのか等を、考えながら日々業務に当たっています。これらの経験は、私がデータを解析し、結果を考察するときに、常に役立っていると感じています。

 

CEHSの魅力

 CEHSには多様な背景をもつ研究者が集まっている点をとても魅力的だと感じています。医学、獣医学、薬学、保健科学、心理学、スポーツ科学、化学、環境学、統計学等、様々な専門を持つ先生方がおり、誰もが最初から環境保健学のエキスパートというわけではなく、お互いに学びつつ研究を進めています。また、出生コホート研究でこれまで蓄積してきた貴重なデータや検体が保管されているため、ここでしかできない研究のチャンスがあります。これは未来の環境と子どもの健康に関心をもつ、出生コホート研究の協力者さまの貢献の賜物です。このような市民とアカデミックとの信頼関係が構築されていることが宝物だと感じています。自分自身でその出生コホート研究を発展させることができる可能性にわくわくする方は、ぜひCEHSにコンタクトしていただければと思います。