お知らせ
2012年11月02日

活動報告「SW2012:国際シンポジウム アジア子どもの健康とサステナビリティ」

世界各国で生活環境に起因する子どもの健康と安全の問題が顕在化している現状を受け、特に東アジアの子どもの健康について議論する国際シンポジウム「東アジアの子どもの健康とサステナビリティ」を2日間に渡り開催しました。

第1日目(15日)には玉城英彦教授、山内太郎准教授の司会のもと、以下の講演をいただきました。(同時通訳つき)

1.中国医科大学 Lihong Jia教授「中国の学童の栄養と健康状態」

2.韓国ソウル大学 Bungnyun Kim教授「思春期のうつと自殺」

3.教育学研究院 松本伊智朗教授「日本における子ども虐待の理解と論点」

4.保健科学研究院 山内太郎准教授「フィールドワークで途上国の子どもの安全・健康・幸福に貢献する」

5.環境健康科学研究教育センター 岸玲子特任教授「日本における古くて新しい問題」

講演後はパネルディスカッションを行い、会場からのご質問も頂きながら、韓国のうつや日本の貧困と虐待の問題は相互の共通点が多く、互いの行政の取り組みの課題について討論がありました。また、グローバルな経済発展が進むにつれて、途上国が近い将来中国の肥満や、日本の環境や公害対策同様の問題に直面する可能性など、東アジア地域の子どもたちを取り巻く生活環境と健康問題といった課題解決のための方策を話し合いました。

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第2日目(16日・全編英語/通訳なし)の第一部では具体的な環境要因とその対策について、最近の調査研究から紹介をしました。特にKim教授からは急遽最新の脳画像も紹介しながらADHD研究について報告を受けることができました。

1.環境健康科学研究教育センター荒木敦子特任講師「室内空気質と子どもの健康」

2.      〃       宮下ちひろ学術研究員

「胎児期PCB・ダイオキシン類曝露が児の健康に与える影響」

3.中国医科大学Lingling Zhai准教授「思春期前の肥満男児の性的発育:4年間前向き研究」

4.韓国ソウル大学 Bungnyun Kim教授「環境曝露とADHD」

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第二部では、「健康で安心な社会構築への挑戦」と題し、教育学研究院河口明人教授の司会で、これまでにアジア各国で展開されてきたヘルスプロモーションなどの医療協力や疫学研究について紹介しました。

1.順天堂大学 湯浅資之准教授「グローバル化された世界における母子保健の新しい挑戦」

2.医学研究科 玉城英彦准教授「スリランカにおける疫学研究」

3.国際本部 松永龍児国際協力マネージャー「日本の保健政策 2011年~2015年」

4.環境健康科学研究教育センター 岸玲子特任教授

「環境健康科学研究教育センターとWHOコラボレーションセンター」

疫学研究など学術的な面から、行政的やJICAなどの実践的な異なる視点での国際的な活動を含めて、日中韓の三国の連携を深めることの重要性を再確認すると共に、環境健康科学研究教育センターが今後どのような役割を担うべきか議論しました。

 

イベントには大学院生や一般の方などのべ120人が参加し、終了後に実施したアンケートでは、年々規模が大きくなる当センター主催の国際シンポジウムへの期待を寄せるお声や、有意義な情報を得たという意見も多くみられ、講演者・参加者ともに実りあるシンポジウムであったことが伺えます。環境健康科学研究教育センターは、各種議論や参加頂いた方の意見を踏まえて、各機関と連携しながら、今後も子どもたちをとりまく環境や健康に関する課題に取り組んでいきます。