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活動報告「SW2011:国際シンポジウム 現代社会の呪縛構造社会環境生活習慣に潜む病根―」

 北海道大学環境健康科学研究教育センターは、昨年のオープニングシンポジウムに引き続き、サステナ2011における国際シンポジウムとして、10月26日『現代社会の呪縛構造 ―社会環境・生活習慣に潜む病根―』を開催いたしました。本シンポジウムの焦点は、東アジアの主要国、すなわち目覚ましい発展をとげている中国および韓国と、日本における社会環境および生活習慣の違いがどのような健康課題を抱えているかを議論し合う点にありました。齋藤健保健科学研究院教授の司会のもと、中国からは北京大学のPeiyu Wang教授が、『Chronic Diseases, Behavior and Social Environment in China』と題して、急速な経済発展に伴う生活習慣病の急増、とくに最大の死因である脳血管疾患、ストレスの増加、都市部と農村部の格差や医療アクセス事情も含めて、深刻な現状について講演をいただきました。続いて本学の教育学研究院・河口明人教授は、『食生活に潜在する生活習慣病リスク-肥満と痩身-』と題して、糖尿病患者やメタボリック・シンドローム患者が増加している背景に植物性脂肪の過剰摂取が関連している可能性とともに、青年期女性の過剰なダイエットによる痩身が、低出生体重児の増加要因であること、さらに将来の生活習慣病にも連続する懸念が示されました。一方、保健科学研究院・山内太郎准教授からは、『肥満化・体力低下時代を生きるアジアの子どもたち:現状と緩和方策』と題して、先進国と途上国を対比しつつ、先進国都市部の子どもたちの急速な肥満化と体力低下の一方で、途上国農村部の子どもたちには体力低下は認められないことから、伝統社会に生きる子どもたちのライフスタイルと健康を、アジアの子どもたちに生かす可能性について講演をいただきました。さらに、韓国から招いたソウル大学のBo Kyung Koo准教授が、『Metabolic syndrome and the life style modification to overcome it in the Korean population』と題して、韓国におけるメタボリック・シンドロームの特徴に運動不足が大きく関与していること、さらに環境汚染物質がインスリン抵抗性を引き起こしている可能性について、介入研究の事例の紹介とともに講演されました。

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 最後の総合討論では、上記の生活習慣病に加え、現代社会の深刻な健康課題として、自殺者数が韓国、日本ともに大きく増えていることが取り上げられ、中国の潜在的なストレス社会の側面とともに、今後とも密接な情報交換の必要性を意識させ、三国の連携を深める上でも、実り多いシンポジウムとなりました。

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