調査でわかったこと

胎児期のビスフェノールA曝露は、生後の子どもの発達や問題行動と関係?

この研究の目的

私たちが使用するプラスチック製品に含まれるビスフェノールA(BPA)と、発達障害や問題行動の関連性が懸念されているので、臍帯(へその緒)血のBPA濃度が、生後の子どもの発達や問題行動に関係するか検討しました。

ビスフェノールA(BPA)とは?

自動車などの乗り物、電気・医療機器類や水・食品の容器など、多くの日用品に含まれるポリカーボネート樹脂に使われている物質です。歯科治療用の歯の詰め物や、缶詰の内側を被覆するエポキシ樹脂の中にも含まれることが知られています。

子どもの発達や問題行動はどのように調査したの?

6、18ヶ月ではベイリー乳幼児発達検査を対面式で実施し、精神・運動発達を評価しました。3.5歳では、知的能力検査を対面式で行い、また郵送法で保護者の方に子どもの行動チェックリストご回答をいただき、子どもの情緒や行動面の問題をとらえました。

この研究からわかったこと

臍帯(へその緒)血のBPAの濃度は、子どもが6,18ヶ月のときの精神・運動発達、および3.5歳での知的能力とは関係しないことがわかりました。一方、臍帯血のBPAの濃度が高くなると、3.5歳での問題行動(不安や抑うつなど内向的な問題、攻撃性や非行などの外向的な問題)が増加する傾向がみられました。
この傾向は、女児で特に強くみられました。

出典:Minatoya M, et al. Cord blood BPA level and child neurodevelopment and behavioral problems: The Hokkaido Study on Environment and Children’s Health, Sci Total Environ. 607-608 351-356