調査でわかったこと

母体血中にDEHP多いと、脂肪酸濃度が下がる

妊娠中の脂肪酸は、胎児の成長にとって重要な栄養素です。この研究では、プラスチックや塩化ビニルに含まれる化学物質DEHPが脂肪酸の濃度に影響するかを検討しました。

この研究が明らかにしたこと

母体血中のDEHP濃度が高いと、トリグリセリド、および必須脂肪酸であるα-リノレン酸、オレイン酸、リノール酸、およびパルミチン酸の濃度が低いことが明らかになりました。
子どもの出生時の体格への影響はありませんでした。

何を調べたの?

妊娠中期から後期の妊婦さんから血液を頂き、DEHPおよび脂肪酸9種類を測定しました。また、DEHP濃度と生まれた子どもの体重、身長、胸囲、および頭囲との関連を検討しました。

DEHPとは?

プラスチック製品などを軟らかくするために使用されています。中でも、約60%の生産量を占めるフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)はポリ塩化ビニルの製造に広く使われ、部屋の床材や壁材などの内装材、おもちゃ、プラスチック容器に含まれています。

この研究から言えること

妊娠中のDEHPは母の脂肪酸代謝に影響することで、ホメオスタシスをかく乱させる可能性があります。幸い子どもの体格への影響はみられませんでしたが、今後もDEHPの影響を注意深く検討していく必要があります。

出典:X. Jia et al., Prenatal maternal blood triglyceride and fatty acid levels in relation to exposure to di(2-ethylhexyl)phthalate: a cross-sectional study. Environmental Health and Preventive Medicine. 20 (3):168-78, 2015.