調査でわかったこと

妊婦の血中有機フッ素化合物濃度の年次による違いと、血中濃度と関係する母親の特徴

有機フッ素化合物(パーフルオロアルキル物質)とは

有機フッ素化合物は分解され難い性質の化学物質であり、人の体内に長い間蓄積するので、女性、特に妊娠中の母親とその子どもの健康に影響を与えることが心配されています。有機フッ素化合物は撥水・撥油加合された日用品などに含まれており、日常の生活で体内に取り込まれます。有機フッ素化合物は複数の種類があり、健康影響が心配されるいくつかの物質(ペルフルオロオクタンスルホン酸: PFOS、ペルフルオロオクタン酸: PFOA)が規制されましたが、代わりに新しい物質の使用が増えています。それに伴い、有機フッ素化合物の体内濃度も年次により違う可能性があります。

何を調べたの?

2003年から2011年に北海道大規模コホート「環境と子どもの健康に関する研究・北海道スタディ」に参加いただいた妊娠中の母親2123人を対象に、有機フッ素化合物の年次による濃度と妊娠中の母親のどのような特徴が有機フッ素化合物の濃度と関連するのかについて調べました。

妊娠後期の母親から採血をして、血中の11種類の有機フッ素化合物を測定しました。喫煙の有無はタバコに含まれるニコチンの代謝物であるコチニン濃度を測定しました。妊娠中に母親から回答を得た質問票から、母の年齢、出産歴、妊娠前の体重や身長の情報を集めました。

研究からわかったこと

  1. 年次による有機フッ素化合物の濃度の違い
    測定した血液のサンプルのうち80%以上のサンプルから8種類の有機フッ素化合物が検出されました。1種類の有機フッ素化化合物(PFOS)の濃度は、2003年から2012年の間で大幅に減少しており、2010年に製造・輸入・使用が法律で規制されたことにより体内濃度も下がることがわかりました。
  2. 有機フッ素化合物濃度に関連する母親の特徴

妊娠前の体格指数(BMI: Body Mass Index)が25kg/m²を超える母親では、BMIが25kg/m²未満の母親に比べ、3種類の有機フッ素化合物濃度(PFUnDA、PFDoDA、PFTrDA)の値が低いことがわかりました。妊娠中に喫煙した母親(コチニン濃度>11.49ng/mL)は、非喫煙の母親(コチニン濃度<0.22ng/mL)に比べ、PFOS濃度が高いことがわかりました。出産歴のある母親は初産の母親よりも5種類の有機フッ素化合物濃度(PFHxS、PFOS、PFOA、PFNA、PFDA)が低くなりました。規制や世界的なガイドラインなど使用量が減った有機フッ素化合物に体内中の濃度に変化が見られたことから、今後も継続して調査をする必要があると考えられます。

出典: Tsai M S. et al., Determinants and temporal trends of perfluoroalkyl substances in pregnant women: The Hokkaido Study on Environment and Children’s Health. Int J Environ Res Public Health
. 2018 May 14;15(5):989. doi: 10.3390/ijerph15050989.