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胎児期の有機塩素系農薬・殺虫剤と発達の関係

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有機塩素系農薬とは?

過去にシラミ駆除などに使われた有機塩素系の農薬・殺虫剤には、強い毒性があるものも多く、日本をはじめ多くの国では1970年代に使用を中止しました。しかし、これらの物質は分解されにくく、土壌や水中に残留しており、私たちが口にする魚や肉に移行するため、低濃度とはいえ、いまだに人の血液中から検出されます。また、一部の国では、現在も安価な殺虫剤としてマラリア対策のため使用されています。

この研究の目的

胎児の体や脳が作られている時期に有機塩素系農薬にさらされていることが、生後6か月・18か月の子どもの精神・運動の発達に影響するかどうかを調べることが目的です。

何を調べたの?

① 妊娠中に採取した母親の血液に含まれる29種類の有機塩素系農薬の濃度を調べました。
② ベイリー乳幼児発達検査 第2版*を用いて、生後6か月(164人)と18か月(115人)のお子様に対面調査を行い、発達の程度を調べました。
*ベイリー乳幼児発達検査 第2版とは、子どもの運動や言語などについて総合的に発達の程度を確認する方法です。

この研究からわかったこと

今回測定した有機塩素系農薬29種類のうち15種類が、80%以上の母親の血液から検出されました。生後6か月では農薬による影響は見られなかったものの、18か月ではcis-HCE**という有機塩素系農薬と子どもの精神発達平均得点との間に関連がみられました。つまり、胎児期にcis-HCEにさらされると、生後18か月の精神発達が遅れる可能性が示されました。
ただし、有機塩素系農薬による精神発達への影響は、子どもの成長にともなって消えていくという報告もあります。これらの物質による影響を明らかにするには、学童期以降まで長期間の子どもの発達を見守っていく必要があります。
**cis-HCEは過去にシロアリ駆除剤等として使用されたヘプタクロルという物質の一種です。

文責:山﨑圭子
出典:Yamazaki K., et al, Association between prenatal exposure to organochlorine pesticides and the mental and psychomotor development of infants at ages 6 and 18 months: The Hokkaido Study on Environment and Children’s Health. Neurotoxicology. 69, 201-208, December 2018.

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