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妊娠中のお母さんの有機フッ素化合物濃度が高いと赤ちゃんの遺伝子の目印が減る?

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有機フッ素化合物とは?

水や油をはじく性質があるので、コーティング剤として食品パッケージやテフロン加工製品などに使われている合成化学物質です。代表的なのはパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とパーフルオロオクタン酸(PFOA)の2種類です。人々は主に食品や飲料水を通して有機フッ素化合物にさらされることが知られています。有害性があることから現在は製造・使用が禁止されていますが、分解されにくい性質のため、以前製造された物質が未だ生体や環境中に残っています。

何を調べたの?

妊娠中のお母さんの血液に含まれるPFOSとPFOAの濃度と、へその緒の血液(臍帯血)に含まれる遺伝子の目印(メチル化)の量を測定しました。そして、PFOSとPFOAの濃度が、生まれてくる赤ちゃんの遺伝子の目印の量と関係しているかを検討しました。

研究でわかったこと

お母さんの血液に含まれるPFOAの濃度が高いと、IGF2というおなかの中の赤ちゃんの成長に必要なタンパク質を作る遺伝子のメチル化が減っていることがわかりました。そして、PFOA濃度が高いと生まれた時のポンデラル指数*が低くなる(やせぎみ)傾向も見られ、IGF2のメチル化の減少とやせぎみ傾向にも関係がみられました。

*ポンデラル指数(kg/m3):体重と身長から算出される指数のことで、赤ちゃんの体格のバランスを把握するために用いられます。

遺伝子の目印、メチル化って?

お母さんのおなかの中で、たった1つの受精卵が眼や腕や心臓などの別々の細胞に分かれて、体がつくられ、赤ちゃんが生まれます。どんな細胞に分かれるかは遺伝子によって決まります。どの細胞も同じ遺伝情報を持っているはずなのに、別々の細胞になるのは、それぞれの細胞で「使われる遺伝子」と「使われない遺伝子」が決まっているからです。そのために、「使う・使わない」遺伝子を区別する目印がついています。メチル化という目印が付くと使われない遺伝子になります。目印が増えたり、なくなったりしてしまうと、使われるはずの遺伝子が使われなかったり、使われないはずの遺伝子が使われ、子どもの健康に影響する可能性があります。この影響については、今、世界中で調べられています。

この研究では、お母さんが高濃度のPFOAにさらされると赤ちゃんの遺伝子の目印が減り、その結果、おなかの中の赤ちゃんの発育に影響する可能性があることを世界で初めて示すことができました。遺伝子の目印が増えたり減ったりしてしまうと、その後の子どもの成長にも影響するのか、さらに検討していく必要があります。

出典:Kobayashi S, et al.  Effects of prenatal perfluoroalkyl acid exposure on cord blood IGF2/H19 methylation and ponderal index: The Hokkaido Study. J Expo Sci Environ Epidemiol. 2017. 27:251-259.

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