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妊娠中にポリ塩化ビフェニル(PCB)類にさらされると、成長に関わるDNAのメチル化がおこる

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ポリ塩化ビフェニル(PCB)類って何ですか?

PCB類は工業用品として使われていました。分解されにくいために、海や陸、動物やヒトの体内に長期にわたって蓄積されています。わが国では、1970年代に使用禁止になったため、環境中のPCB類濃度は低下しているものの、現在でもまだ残っていることがわかっています。

DNAメチル化って何ですか?

ヒトのからだをつくる設計図といわれるDNAにメチル基という化学構造を結合させることで、目印をつけることをDNAメチル化といいます。DNAメチル化は不必要な遺伝子を働かせないようにして、私たちの身体を正常に保つ働きをしています。環境変化に対する遺伝子のスイッチのオンとオフに例えられて説明されることもあります。今までの研究では、喫煙と成長に関わるDNAメチル化との関係の報告はあります。しかし、PCB類と成長に関わるDNAメチル化との関係についての報告はまだなかったので、調べてみました。

妊娠中にPCB類にさらされると成長に関わるDNAメチル化にどのような影響がありますか?

調べた結果、妊娠中にPCB類にさらされる量が増えるほど、成長に関わるDNAメチル化もまた増えました。そして、成長に関わるDNAメチル化が増える量はわずかであり、特に女のお子さんで成長に関わるDNAメチル化が増えました(図1)。

この結果はどのように調べられましたか?

アンケートで妊娠中のお母さんの特徴などの情報と血液を、病院に残された記録から赤ちゃんの情報をいただきました。そして血液中に含まれるPCB類濃度と成長に関わるDNAメチル化率を測りました。

この研究からのメッセージとしては?

妊娠中のお母さんがPCB類にさらされる量によって、お子さんのからだをつくる設計図である成長に関わるDNAのメチル化に違いがあることがわかりました。PCB類にさらされると胎内にいるお子さんは、成長に関わるDNAをメチル化することで環境変化に対応していると考えられます。成長に関わるDNAメチル化がわずかな量であったとしても、生後の発育にどのように影響を与えるのかはまだ明らかになっていません。今後、わずかな成長に関わるDNAメチル化変化が生後の発育にどのように影響を与えるのか、あるいは影響を与えないのかを明らかにしていきたいと考えています。

出典: Kobayashi S, et al. Gender-specific association of exposure to non-dioxin-like polychlorinated biphenyls during pregnancy with methylation levels of H19 and long interspersed nuclear element-1 in cord blood in the Hokkaido study. Toxicology. 2017; 390: 135-145.

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