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妊娠中に有機フッ素化合物にさらされると、お母さんと赤ちゃんの甲状腺刺激ホルモンが乱れる

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この研究の目的

私たちが日常的に使用する製品に含まれる化学物質の中には、ヒトの体内に取り込まれると様々なホルモンバランスを乱すことが指摘されているものがあります。この研究は、妊娠中に有機フッ素化合物にさらされると、赤ちゃんの甲状腺ホルモン(FT4)・甲状腺刺激ホルモン(TSH)のバランスへどのように影響するかを調べました。

有機フッ素化合物とは?

撥(はっ)水剤(すいざい)、發(はつ)油剤(ゆざい)、コーティング剤として、食品パッケージやテフロン加工の製品などに使われている物質です。人々は主に食品、飲料水を通して有機フッ素化合物を摂取することが知られています。代表的なものはPFOSとPFOAの2種類です。その有害性から現在は製造・使用が禁止されている物質ですが、分解されにくいことから、以前使用された物質が未だ環境中に残っています。

甲状腺ホルモン(FT4)・甲状腺刺激ホルモン(TSH)とは?

甲状腺ホルモン(FT4)は、喉の辺りにある甲状腺から分泌され、体のエネルギーを作り出す新陳代謝を調節するなど、小児では成長・発達に不可欠なホルモンです。甲状腺刺激ホルモン(TSH)は脳にある下垂体から分泌され、甲状腺ホルモンの量が増えすぎたり減り過ぎたりしないように調節しています。

この研究が明らかにしたこと

お母さんに妊娠中にいただいた血液から、PFOSとPFOAの濃度とFT4・TSH濃度を測りました。赤ちゃんは、生後4日に足のかかとの血液からFT4・TSHを測りました。お母さんの血中PFOS濃度が高いグループでは、低いグループに比べてお母さんのTSHが低く、お子さんのTSHが高くなっていました。一方、お母さんのPFOA濃度とお母さん・お子さんのFT4・TSH間に関連はありませんでした。

この研究から言えること

お母さんが妊娠中にPFOSを体に取り入れる濃度が高いと、お母さん・お子さん両方のTSH濃度へ影響することがわかりました。妊娠中のお母さんのFT4は、胎盤を通してまだ自分でホルモンを作ることができない赤ちゃんへ渡され、そのFT4を使って赤ちゃんはおなかの中で成長します。FT4の量を調整するTSHが影響されることは、お母さん・赤ちゃんのFT4濃度へも影響し、赤ちゃんの成長を阻害する可能性が考えられます。今後、妊娠中~生まれたときのホルモンバランスの乱れがどのように、そしてどの時期まで影響していくのか、お子さんの成長を観察していく必要があります。

出典:
Kato S, et al. Association of perfluorinated chemical exposure in utero with maternal and infant thyroid hormone levels in the sapporo cohort of hokkaido study on the environment and children’s health, Environmental health and preventive medicine. 21:334-344, 2016

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