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お母さんの妊娠中のダイオキシン類の血中濃度が高いと、子どもの発達の得点が低くなる?

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お母さんの血液中のダイオキシン類濃度が子どもの発達にどのような影響があるのかは一貫した結果が得られていない状況にあります。

北海道スタディでこの関係性を調べたところ、男児では、お母さんの妊娠中のダイオキシン類10種類において濃度が高いほど6ヶ月時の運動発達の得点が低くなっていました。しかし、1歳6ヶ月になるとそのような傾向が見られなくなりました。女児では、お母さんの妊娠中のダイオキシン類1種類において濃度が高いほど6ヶ月時の心理発達の得点が低くなっていました。しかし、1歳6ヶ月になると6種類のダイオキシン類で濃度が高いほど心理発達の得点が高くなる傾向となることがわかりました。

ダイオキシン類って何?

ダイオキシン類は、環境中に広く存在している物質で、主にごみを焼却することにより発生するといわれています。大気中に含まれていたダイオキシン類は、土や水を汚染し、そこに生存していた魚介類や生物に蓄積されていき、人がそれらを摂取することで、人の体内に蓄積するといわれています。ダイオキシン類は、毒性をもつ物質ですが日常生活の中で摂取するわずかな量では急性毒性の心配はありません。なお、北海道スタディでご協力いただいたお母さんの妊娠中のダイオキシン類濃度の平均値は、国内の他地域の調査結果よりも低い値でした。

どうやって調べたの?

北海道スタディに参加した妊娠中のお母さんの血液から、ダイオキシン類濃度を測定しました。お子さんの発達状況については、6ヶ月、1歳6ヶ月に対面により発達検査(ベイリー乳幼児発達検査2)を実施しました。同時期に育児環境の状況についても調査票にて答えてもらいました。これらの情報からダイオキシン類濃度とお子さんの発達状況との関連性について調べました。

この研究から言えること

お母さんの妊娠中のダイオキシン類濃度による子どもの発達への影響は、日常の生活でさらされる低い濃度のダイオキシン類では、女児に比べて男児に強く現れる傾向がありました。しかし、6ヶ月の発達でみられた悪影響は1歳6ヶ月ではみられなくなり、成長するに従いその影響が消失する可能性があることが示されました。お母さんの妊娠中のダイオキシン類濃度が高くなると女児において心理発達が高くなる原因や、6ヶ月の発達でみられた悪影響が1歳6ヶ月ではみられなくなるといったことが今後も継続するかどうかは不明なため、お子さんの成長後の調査結果との関連を明らかにしていく必要があります。

文責:中島そのみ

出典:Nakajima S, et al. Sex-specific differences in effect of prenatal exposure to dioxin-like compounds on neurodevelopment in Japanese children: Sapporo cohort. Environ Res. 2017 Nov;159:222-231.

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