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妊娠中に有機フッ素化合物にさらされると、赤ちゃんの性ホルモンバランスが乱れる

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この研究の目的

私たちが日常的に使用する製品に含まれる化学物質は、ヒトの体内に取り込まれると種々のホルモン値を乱すことが指摘されています。この研究は、妊娠中に有機フッ素化合物にさらされると、生まれてくる赤ちゃんの性ホルモンバランスへどのように影響するかを調べました。

有機フッ素化合物とは?

撥(はっ)水剤(すいざい)、發(はつ)油剤(ゆざい)、コーティング剤として、食品パッケージやテフロン加工の製品などに使われている物質です。人々は主に食品、飲料水を通して有機フッ素化合物にさらされることが知られています。代表的なものはPFOSとPFOAの2種類です。その有害性から現在は製造・使用が禁止されている物質ですが、分解されにくいことから、以前使用された物質が未だ環境中に残っています。

性ホルモンとは?

男女の性差を決めるホルモンです。赤ちゃんの時から体の中に存在し、主に思春期の第二次性徴において、生殖器系を発育させたり、「男らしい」または「女らしい」からだつきへと発育させる役割があります。代表的なものとして、男性ホルモンと言われるテストステロン、女性ホルモンと言われるエストロゲン、プロゲステロンがあります。この研究では、男性の精巣にあり、大人になったときに精子を作るセルトリ細胞から分泌されるインヒビンB、女性の月経周期・妊娠に関係するプロゲステロンや、乳腺の発育に関係するプロラクチンも測りました。

この研究が明らかにしたこと

お母さんに妊娠中にいただいた血液から、PFOSとPFOAの濃度と、赤ちゃんのへその緒の血液に含まれる性ホルモン濃度を測定しました。その結果、男の子では、お母さんの血中PFOS濃度が高いグループでは、低いグループに比べてエストロゲンが高く、インヒビンBが低くなっていました。女の子では、プロゲステロン、プロラクチンが低くなっていました。一方、お母さんのPFOA濃度とへその緒血中の性ホルモンとの間に関連はありませんでした。

この研究から言えること

お母さんが妊娠中にPFOSを体に取り入れる濃度が高いと、男の子では女性ホルモンであるエストロゲンが高く、インヒビンBが少ないという結果は、胎児期の精巣の発育に影響があった可能性を示しています。女の子では、お母さんが妊娠中にPFOSを体に取り入れる濃度が高いと、プロゲステロンが少なくなっていたことから、プロゲステロンの元になるコレステロール合成系に影響があったことが考えられます。今後、生まれたときのホルモンバランスの乱れがどのように影響していくのか、思春期以降の成長を観察していく必要があります。

 

出典:Itoh S, et al. Association of perfluoroalkyl substances exposure in utero with reproductive hormone levels in cord blood in the Hokkaido Study on Environment and Children’s Health, Environment international 94:51-50, 2016

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