歯並びと歯科矯正のおはなし

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小学校生活の中でもちょっぴりお兄さん、お姉さんとなり、子どもの歯「乳歯」から大人の歯「永久歯」へと生え変わってきた頃ですね。この時期のお口の中は、多くのお
子様が前歯と一番奥の6歳臼歯が永久歯、その間の歯が乳歯という「混合歯列期」と呼ばれる時期です。子どもの小さな顎(あご)に、乳歯に比べて非常に大きな永久歯が
生えてきたため、歯が「ガタガタ」のお子様も多く、歯並びが気になるお母様も多いのではないでしょうか。そこで今回は歯並びと矯正についてのお話です。

良い歯並びと悪い歯並び

理想の歯並びとはどのようなものなのでしょうか?

歯01                       ①上下の真ん中の線が一致している   ②の下の前歯の長さのうち、③のように上側1/4~1/3が上の前歯におおわれている

 

 

 

 

上図に近いほどきれいな歯並びとされます。そして、ここから大きく外れたものを、悪い歯並び=‘不正咬合(こうごう)’と言います。

不正咬合にもいろんな種類があるのですが、ここでは代表的なものをご紹介します。

  • 叢生 (そうせい): 顎の大きさに対して歯が大きく、
    歯の生える場所が足りないため、
    歯がデコボコに生えている状態。
    子どもの顎はこれからも成長す
    るのでそれに伴い改善すること
    もあります。歯02
  • 上顎前突 (じょうがくぜんとつ):いわゆる「出っ歯」。上の歯が出っ張っています。歯03
  • 下顎前突 (かがくぜんとつ):いわゆる「受け口」。上下の噛み合わせが前後的に逆になっています。歯04
  • 開咬 (かいこう):奥歯で噛んでいても上と下の前歯の間があいているもの。歯05
  • 過蓋咬合 (かがいこうごう):上の前歯が下の前歯にかぶさりすぎているもの。歯06

毎年行われる小学校の歯科検診でこれらの不正咬合に当てはまる場合、歯科矯正をおすすめしています。

 

今が矯正の始め時!!

この時期のお子様の中で相談の多い<上顎前突>を例にとってみましょう。
上顎前突の原因は、大きく分けて次の3つです。
1.顎の位置は正常だが歯が前方へ傾きすぎているもの
2.上顎が大きく前方へ出ているもの
3.下顎が小さすぎるなど、下顎の成長が足りず、相対的に上顎前突であるもの
原因が1つである場合もあれば、1と2、といったように複数の原因がある場合もあります。
1は歯の傾きが原因であり、歯の傾きを整える治療になるので大人になってからでも治療は可能です。2と3は骨格、
すなわち顎の大きさが原因であることから、すでに顎の成長を終えた大人では治療方法が限られてしまいます。それに対して、子どもの時期に治療を始めた場合、上顎の成長を
抑え、下顎の成長を手助けすることで、理想に近い歯並びと骨格をつくることができます。技術や装置が発達した今は、大人になっても歯科矯正は可能です。しかし、成長を最大限に活かせる子どもの矯正治
療は、大人に比べて優位な面が多いのです。そして、9歳から13歳頃までの時期が顎の成長コントロールに最も適した時期なのです。

矯正治療にかかる期間と費用

子どもの時期から治療を始めた場合、歯や顎を動かす時期と、その後の経過観察の時期を含めると、治療にかかる期間は成長が止まる中学生~高校生の時期まで行うことが多いです(歯
並びの程度によって個人差はあります)。現在、矯正治療には健康保険適用がないため、例外を除いては全額自己負担となります。歯並びの程度によって治療内容、治療期間、使用する装置の種類が異なるため、全額で10万~
100万円超とひらきがあります。正確な治療期間や費用はレントゲンなどの詳しい検査をしないとわかりませんが、矯正の初回相談時に期間と費用の大まかな目安を教えてくれるでしょう。
参考文献
葛西 一貴、飯田 順一郎「歯科矯正学」2002 医歯薬出版
平出 隆俊「歯科矯正学サイドリーダー―何をどう考えればいいのか
実習・研修・国試に役立つ矯正臨床入門」2002 学建書院
後藤 滋巳「混合歯列期の矯正歯科治療」2002 医歯薬出版