健康状態を良好に保つための自宅の室内環境

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私たちの多くは、1日のうちの3分の2を自宅で過ごします。そのため自宅の環境(室内空気質)を良好に保つことは、お子さまの健康状態を良好に保つ上でとても重要です。

シックハウス症候群とは

シックハウス症候群では、特定の建物内で、眼、鼻、喉、皮膚への刺激症状、頭痛、倦怠感、集中困難などの症状を訴えます。建物の高気密化により、日本では1990年代に新築住宅で問題になりました。しかし、シックハウス症候群は、新築住宅だけの問題ではありません。私たちが札幌市の小学生6400人に行った調査では、8.5%の児童がシックハウス症候群でした。お子さんは「家に帰るといつも鼻がグズグズしている、くしゃみをする。でも外で遊んでいる時やお友達の家では気にならない」ということはありませんか?家を離れると良くなる症状は、裏を返すとその症状はご自宅の環境によって生じている可能性があります。喘息や鼻炎などのアレルギー症状も、自宅を離れると良くなるのであれば、ご自宅の室内空気質を改善することで、症状が緩和できる可能性があります。

 

シックハウス症候群による症状

眼の症状 目がかゆい、あつい、チクチクする。日によって重症度は異なり、コンタクトレンズ装着者はより過敏性が高い。
鼻の症状 鼻が詰まる訴えが最も多い。他に鼻がむずむずする、鼻水があり、アレルギー症状である可能性が大きい。
喉および気管支症状 喉が乾燥する、息が苦しい、深呼吸ができないなど。
皮膚の症状 皮膚の乾燥の訴えが最も多く、特に女性に顕著他にかゆみや赤くなるなど。
精神・神経症状 頭痛の訴えが最も多い。また、頭痛と合わせて易疲労感、だるさ、集中力の欠如、不快感、吐き気、嘔吐など。

 

シックハウス症候群の原因となるもの

1.化学物質
私たちの身の回りには、様々な化学物質があります。良く知られるホルムアルデヒド以外にも、家具、接着剤、塗料からいろいろな化学物質が発生しています。じゅうたんやカーテンなどの繊維製品、家電、プラスチック製品、化粧品、洗剤、芳香剤や防虫剤などの生活用品にも様々な化学物質が含まれています。ホルムアルデヒドはタバコの煙の中にも含まれます。こうした化学物質はすぐに私たちの健康に影響を与えるわけではありません。しかし本州と比べて住宅の気密性が高い北海道の住宅では、室内の化学物質濃度も高くなる傾向があるので、不要なものは利用しない、日々換気を心掛けるなど、室内の化学物質濃度を低く保つ工夫は必要でしょう。

2.カビ(真菌)
カビそのものが感染症や過敏性肺炎、アレルギーの原因となります。さらに、カビは毒素や、MVOCと呼ばれる化学物質をつくりだし、こうした物質が鼻水の原因になっている可能性があります。カビが発生しやすい環境は、①室温20-30℃、②湿度が高い、③餌となる汚れが多い、④空気の流れがない、ことです。

3.ダニアレルゲン
ダニには様々な種類がありますが、アレルギー症状を引き起こす原因(アレルゲン)になるのはチリダニ科のダニです。ダニが発生しやすい環境はカビとよく似ており、①室温25℃、②湿度75%程度、③餌となる汚れが多い、などです。

4.粉じん
小さくて軽い粉じんは空気中に浮遊し、呼吸によって気管や気道に入った時に健康障害が起こる可能性があります。粉じんには化学物質、カビ、細菌、ウイルスなどの微生物、花粉、繊維、燃焼によって発生する煤、排気ガスなどが含まれています。粉じんが積もると「ホコリ」となり、シックハウス症候群の原因となります。

5.ダンプネス
あまり聞きなれない言葉ですが、ダンプネスとは局所で湿気が上昇することで、カビや微生物、ダニの増殖を促します。また、建物の構造にダメージが生じて化学物質が放散し、シックハウス症候群の原因となる可能性があります。ダンプネスの目印として以下に注意が必要です。
①結露 ②水漏れや雨漏り ③(特に壁や天井での)カビの増殖 ④カビ臭さ ⑤お風呂場の湿気 ⑥加湿器の使用

室内空気質の改善方法

1.換気をしよう
一番大切なのは換気です。換気は化学物質濃度を下げ、結露などを防ぎ、カビやダニが増えるのを防ぎます。ご自宅に集中換気システムや24時間換気などの設備がある場合には、積極的に使用してください。換気装置がない場合には、日中は各部屋の扉を開けて風通しを良くする、家具を壁に密着させずに空気の通り道を作る、などの工夫をしてみてください。

2.湿度を上げすぎないようにしよう
室内の湿度が40%以上あれば、加湿器を使う必要はありません。
加湿器を使用する場合には、貯留水やフィルターを清潔に保ちま
しょう。

3.化学物質の持ち込みに気をつけましょう
室内の化学物質には居住者が外から持ち込んでいる物質もたくさんあります。不要なものは「買わない」「使わない」を心掛けましょう。

4.掃除と洗濯
目につかないところにホコリは溜まります。カーテンレール、照明器具、エアコンや換気扇のフィルター、鴨居などの高いところを掃除しましょう。ホコリがたまりやすい場所をつくらないように家具と壁の間に間隔をあけ、移動できるものは移動して掃除をします。小さなお子様がいると、物が増えてしまいがちですが、基本的な整理整頓することでも、実はホコリを少なく出来ます。ダニアレルゲンは水に溶けるので、洗えるものは洗濯を、可能であれば温水(60℃程度)が効果的です。

(参考資料:シックハウス症候群に関する相談と対策マニュアル 発行:財団法人日本公衆衛生協会)