ストレスからみるこころと身体のおはなし

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小学校1、2年生のお子様は、少し学校に慣れてきた頃ですね。お母様やお子様には「楽しく学校に行けること」はとても大切です。ところが最近では他人との接し方がわからず、低学年でも精神的不安を抱え込み、体調をくずしたり、学校に行けなくなったりする子どもが増えていると言われます。お母様としては
は、ご自分の幼少期との違いに戸惑い、ご心配も多いことと思います。今回は、小学生のメンタルヘルス、とくにストレスからみたこころと身体のお話をさせていただきます。

ストレスとは

「ストレス」という言葉は、心身不調の原因や反応として日常用語となっていて、生活の中で心身の不調に関心を向ける手助けをしてくれています。ストレスから学校生活になじめなくなるお子様がいるかもしれませんが、ストレスがかかっていきなり問題が生じるわけではありません。左下の図のように、最初はストレスの原因に対して「いやなことがきたぞ」と心身が反応します(警告期といいます)。そのままストレスがかかっても、なんとか乗り越えようと頑張ります(抵抗期といいます)。この頑張りがきかなくなったときに、こころや身体、あるいは行動として様々な面に問題があらわれます(疲弊期〈ひへいき〉といいます)。でも、徐々に乗り越え元気を回復する場合もあるのです。

ストレス
「いやなことがおきたぞ」と気持ちや身体が反応する状態

ストレスが続いている状態
「つらいけど頑張ろう」とストレスに抵抗して耐えている状態

乗り越えた状態
「これは解決できるぞ」
「助けがいるからOKさ」
「うまくつきあえるよ」

ストレス

耐えられなくなった状態
「もうだめだ~」
「つかれきったよ」
「助けて!」

こころ:かなしい、やる気になれない
身 体:発熱・腹痛・頭痛など
行 動:起きられない、学校行けない

ストレスで心身に症状があらわれる過程

ストレスがかかっても、すぐに耐えられなくなるわけではありません。ストレスを跳ね返そうとがんばっても、耐え切れなくなった時に、こころや身体の症状となってあらわれます。

ストレスとうまくつきあうポイント 第一歩

では、ストレスを乗り越える、つまりストレス対処にはどういったポイントがあるでしょう。まず、こころの状態と身体が関連していることに気づくことが大切です。当たり前のようで、ここが大人の私たちにもむずかしいところ。特に小学校1、2年生のお子様は、自分の気持ちや苦しい状況を上手に伝えることがむずかしいと思われます。
次にご紹介するのは、こころと身体、行動などをそれぞれ野球ベースに例えたものです。心身の関連をわかりやすく描いていると同時に、こころの病気(うつ病など)に対する心理療法の第一歩でもあります。

野球ベースに例えた からだ、気持ち、行動、考えの関係

「明日は野球の試合」というとき、一郎くんは・・・

行 動
気持ち
考 え
からだ

①どきどき、お腹痛い
②打たれたらどうしよう…不安
③早く寝なきゃ
④最近コントロール悪いし、打線もイマイチだよな

①元気いっぱい
②よし頑張るぞ
③道具を準備しとこ
④練習は十分やった 全力でやるだけだ
例えば、野球選手の一郎くんを例にあげてみましょう。明日は大事な試合です。監督は一郎くんに“先発ピッチャー”を告げました。
①一郎くんは「どきどき」して「お腹が痛く」なりました
からだのベース
②内心は「打たれたらどうしよう」と不安です
気持ちのベース
③「早く寝なきゃ」と布団に入りました
行動のベース
④でも頭の中は「最近コントロールが悪いし、打線もイマイチだよな」と悪いことばかり考えてしまいました
考えのベース
すると翌朝には「熱を出し」お休み?という状況にもなりかねません。

このように「からだ」、「気持ち」、「行動」、「考え」が連携プレーしていることが分かります。各ベースで立ち止まることもありますが、1つが変わると次のベースでの内容も変わります。
上の例でいうと、気持ちが「よし頑張るぞ②」と強気だと、「バット、グローブ、シューズもOK③」と道具を準備し、「十分練習した、全力でやるだけ④」と考え、「元気いっぱい①」に登板するかもしれません。
悲しいとき、イライラするとき、「からだ」はどんなふうになっているか考えてみましょう。そして、そういうときにはどんな「行動」をしやすいか、また頭の中ではどんな「考え」をしているのか、と丁寧にわけてみます。すると、ストレスとうまくつき合っている時とストレスに負けそうな時のパターンが、おぼろげながらでも見えてくるでしょう。悪循環を断ち切るには、各部分を少し変えることで、ほかの部分も連動して変わってきます。

ストレスを助ける周囲の力

お母様がこうしたこころと身体、行動など関連を知っていると、いつもと違うサインの発見に役立つでしょう。問いかけても自分の言葉で表しにくい年頃ですが、なんとなくいつもと違う時、なんだか反抗的な時、「もしかして○○がストレスになっているのかも」と、お子様のこころと身体の各部分へ手を差し伸べるヒントになるでしょう。
ストレス対処(コーピングといいます)には、周囲のサポートが大きな支えになります。先ほどのベースボールゲームでいうと、コーチ、マネージャー、あるいは応援団にあたるでしょう。問題への解決方法を教えたり、ゆっくり休める環境を作ったり、一生懸命頑張っていることを認めてあげたり、方法は千差万別です。

ストレスは人生のスパイス

ストレスというと、悪いことばかりのように思われがちですが、ストレスの原因がまったくない状態はありません。プレッシャー(=ストレスの原因)は、能力を高め、人間としての成長を促す役割もはたしています。「ストレスは人生のスパイスである」と、ストレスの概念を世界に広めたセリエは言っています。
過敏にならず、でも見逃さず、一番の応援者として見守る姿勢がお子様には大きな力となるでしょう。

参考文献:子どものための認知療法練習帳