調査内容

北海道スタディは2つの出生コーホート
① 札幌の1産科医療機関を受診した妊婦を対象とした母児514組の札幌コーホート
② 北海道全域の37医療機関における母児20,926組からなる北海道大規模コーホート
で構成されています。

 

日本では、乳幼児健診などに参加した児を追跡し、子どもの成長を追う研究がいくつか実施されていました。しかし、胎児期の環境の影響を前向きに検討する出生コーホート研究は2000年までに存在しませんでした。また、1996年に『Our stolen future(邦題:奪われし未来)』の出版後、特に内分泌かく乱作用が大きな関心を集め各国で研究が始まりましたが、その多くは汚染濃度が高い地域での研究でした。汚染レベルが比較的低い地域での影響を追跡し、環境リスクを明らかにすること、また、異物代謝酵素などに関係する遺伝子多型(SNPs)などによる遺伝的ハイリスク集団を疫学的に検討することを目的に、前向き出生コーホート研究として『環境と子どもの健康に関する北海道スタディ(The Hokkaido Study on Environment and Children’s Health)』と2001年に立ち上げました。

研究開始から20年経過し、北海道スタディの参加児は学童期から思春期に成長し、健康アウトカムとして、出生時体格から各種ホルモン、発達やアレルギー・感染症、思春期の二次性徴まで幅ひろく検討をしています。また、リスク要因としては、環境化学物質の他、無線環境と電磁波、社会経済要因などについて、胎児期と生後の両面から検討しています。

北海道スタディの詳細をまとめたコホートプロファイル[1-4]および邦文総説[5]をご覧ください。

  1. Kishi, R., et al., Cohort profile: the Hokkaido study on environment and children’s health in Japan. Int J Epidemiol, 2011. 40(3): p. 611-8.
  2. Kishi, R., et al., Ten years of progress in the Hokkaido birth cohort study on environment and children’s health: cohort profile–updated 2013. Environ Health Prev Med, 2013. 18(6): p. 429-50.
  3. Kishi, R., et al., The Hokkaido Birth Cohort Study on Environment and Children’s Health: cohort profile—updated 2017. Environmental Health and Preventive Medicine, 2017. 22(1): p. 46.
  4. Kishi, R., et al., Hokkaido birth cohort study on environment and children’s health: cohort profile 2021. Environ Health Prev Med, 2021. 26(1): p. 59.
  5. 岸 玲子, 荒木 敦子, 宮下 ちひろ, 伊藤 佐智子, 湊屋 街子, 小林 澄貴, 山﨑 圭子, アイツバマイ ゆふ, 三浦 りゅう, 田村 菜穂美, 2万人規模の出生コーホートと,500人規模の小コーホートからなる北海道スタディが目指してきたもの:環境と子どもの健康. 日本衛生学雑誌, 2018. 73(2): p. 164-177.