環境と健康ひろば

室内空気質と健康

人は一日のうちの90%を室内で過ごします。従って、良好な室内空気質を保つことは病気の予防や健康の維持に重要です。そこで、2001年に室内空気質の汚染とシックハウス症候群やアレルギーとの関連についての研究を開始しました。

2003年に、札幌,福島,名古屋,大阪,岡山,北九州の6地域で統一プロトコールを用い,住宅環境と健康に関する調査を実施しました。ホルムアルデヒドやトルエンなどの建材由来の化学物質に加えて、空気中の真菌(カビ)やダニアレルゲンの測定に加えて、可塑剤・難燃剤として使用されるフタル酸エステル類,リン酸トリエステル類,および殺虫剤類,そして日本では初めてとなる微生物由来VOC類(MVOC)の測定をしています。これらの結果をもとに、全国の保健所やSHS相談窓口で使用できる「シックハウス症候群に関する相談と対策マニュアル」を執筆,刊行しました。

2008年からはSHSの有訴が高くハイリスク集団である小学生を対象に全国5地域(旭川,札幌,福島,大阪,大宰府)22公立小学校で全生徒を対象とした質問紙調査を行い,178人の児童の自宅環境調査を実施しました。2011年からは特に可塑剤・難燃剤として用いられるフタル酸エステル類・リン酸トリエステル類の室内環境からの曝露に着目し,ハウスダスト中濃度および家族全員の尿中代謝物濃度を分析しています。北海道スタディの7歳児に対する住宅曝露調査とアレルギーへの影響に関する研究も加えて,本研究成果によりフタル酸エステル類・リン酸トリエステル類の日本における曝露実態や人への影響に関する基礎データを提供し,環境基準設定やリスク管理の科学的根拠を示していきます。

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表1 室内空気質と健康に関する調査(概要)(クリックすると拡大されます)

 

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2013年9月2日 更新

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